【新R25】三浦崇宏と言葉のつくり方講座

三浦崇宏「言語化力」この本の解説

一番実践的な内容「三浦崇宏流・言葉にする方法」

「言葉は大事」って前回言っていただいたんですけど、印象的だったり人を動かす言葉、そういう言葉をどうやって生み出すのか、どういうことに気を遣えばいいのかそのポイントを一個一個話していただこうと思っています。

 

1、スタンスを決める

三浦)自分がどういう立場で何を望んでいる人間なのかを自分でわかっていない人が多い。

例えば最近だと「ネットで誹謗中傷が増えてますけど、あなたはどう思いますか?」とか世の中色んな問題はたくさんあってそれに対して、自分なりの「どういう社会があるべきか」「どういうふうになったら世の中が良くなるか」というスタンスが決まると、何を言われても「俺はこういう人間だからこの問題については反対だな」とか「俺はこういうことを目指しているからこの問題については応援できるな」とかそれが考えられる。

何か言葉を発するとか、アイデアを出すとか語彙を発見するとかの前に、まず自分がどういう人間で何を目指しているのかを決めとこうぜっていう。

 

渡辺)みんな日々選択して生きてるから(スタンスが)あるとは思うんですよね。

それをちゃんと一回言語化するとか、見つめてみるっていうのが大事

 

三浦)…っていうふうに書いてあったでしょ?

俺、違うこと言ってないよね?

 

渡辺)言ってない(笑)

でも表面的に「うまいこと言おう」みたいに思っちゃう人が多いと思うんですよね。

Twitterとかをやるにしてもそう。

Twitterを始めます、「何書いていいかわかんない」とかよく言うじゃないですか(そこに足りないのは)スタンスかもしれない。

 

三浦)何を書いていいのかわかんない人はまさにそれで、自分がどういうことを社会に価値提供したいかとか、どういう世の中になったらいいかとか、自分がどんなふうになりたいかがイメージできてないから何も言えない。

言いたことがない人は言わなきゃいいと思う。

 

ちょっと脱線するんだけど、言いたいことがないのにTwitter始めるヤツが、いろんなものを批判してると思う。

 

渡辺)スタンスがないから触れる材料がアレしかない。

 

三浦)言いたいことはないけど、Twitterというものに登録したせいで、何か言わなきゃいけない気がして、それで何かを批判すると言いやすいじゃん。

だから言いたいことがないヤツは何も言わなくていい。

 

2、客観と主張を往復する

三浦)物事って何でも複雑じゃん。なんだけど、その複雑な状況の中で「一番大事なには何か」ということを俯瞰して捉えること、「そのことについてまず一旦話そうぜ」ただ自分の感情とか自分の考えてきたことを疎かにすると、誰もそこに対して賛同も否定もできない空虚なものになっちゃう。

 

渡辺)確かにTwitterひとつとってもなんか手触りがない人っていうのは多分主観が乗ってないケースが結構ありますよね。

 

三浦)「こういうことあるよね」みたいな発言って結構あると思うんだけど、そこに対して自分は何が嫌いで、何がいいと思ってるのかっていう、自分の根源的な感情とそれを共有するための構造の分析その両方が必要。

 

渡辺)主観の話でいうと、本の中に違う表現であったのが「今って個人的な話がいい」って言ってたじゃないですか、あれ面白かった。個人的な話にむしろ価値がある。

 

三浦)就活とかしてると、みんなすげえありきたりなこと言うじゃん。「メディアの未来をつくっていきたいです」とか

 

渡辺)嘘っぽく見える

 

三浦)だけど例えばウチの会社の社員に、お父さんが「マネーの虎」(の出演者)だったヤツがいる。そいつがPR会社からウチに転職するときに「メディアっていい部分もあるし悪い部分もあると思う」「メディアと起業家、メディアとスタートアップの正しい関係を考えていきたい」とか言ってて、難しいしわかんねえって思った。

で「何それ?」って聞いたら、実はお父さんが「マネーの虎」っていう番組に出たことによって、ワッと一気に良くなってその反面いろんなネガティブなこともあって「メディアって難しいし怖いな」って彼は思ったんだって。

起業家ってメディアとの関係を間違えると調子に乗ったりするし、あるいは叩かれたりする。

だけどメディアとの関係がよければ急速にエンパワーメントされて、世の中をよくするパワーにもなるから、そこの関係をうまくプロデュースしたいめちゃめちゃいいじゃん!

 

渡辺)急に入ってくる

 

三浦)そう!急に(言葉が)入ってくるでしょ?

要は原体験とか自分の原動力になる体験って、それによって関係ない人も想像できるようになる。

だからみんなすぐありがちなキレイごとばっか言うけど、なんでそう思ったのかとか、どうして自分がこういう人間になったのかは、一回真剣に考えて話すとやっぱり急に入ってくる。

理想とか思想ってみんな一緒なんだよ結局。キレイごとなんていくつかしかないから、それをどれくらい信じてるか。そしてどうしてそう思うようになったのか、個人の体験があるわけで、そこをないがしろにしたら、人に伝わるものや人を動かす言葉はつくれない。

ただ一個だけ補足しておきたいのが、原体験ってつい「もともと引きこもりだった」とか「実はすごくいじめられてた」とか壮絶な過去、そんなのいらない。

例えば俺だったらGOをつくった理由のひとつにCMつくってその商品が売れなかったんだけど、そのCMだけは褒められて怒られなかった。

これは俺の中で結構原体験になってて、CMは面白かったけどモノが売れなかったら、それはクリエイターのミスだからちゃんと怒ってほしかった。悔しかった!仲間になれてなかったみたいな。

で俺は「CMで美しい面白いものもつくるし、それがビジネスにコミットするところまで責任持ってやりたい」って思ってGOをつくった。

でもこれって意識してなかったら「怒られなくてよかった」「いいCMつくってよかった」って流れがちじゃん。

原体験っていうと、ドラマチックな体験のように思えるけど、日常の中のちょっとした違和感とか、日常の中のちょっとした感情が生まれる瞬間だから、親父が「マネーの虎」じゃなくても、息を吸って吐くように、原体験を見つけられるって思う。

 

渡辺)そう言われるとみんな「(自分も)やれる」って思うんじゃないですかね。

なのでぜひ自分の感情に向き合ってみてください。

 

3、言葉を「因数分解」する

三浦)これって「解像度を上げる」って言い方もたまにあると思うんだけど、まさにそれですよね。

例えば会社に行くのが嫌だっていう人がいるとする。

これは「会社に行くのが嫌だ」っていうことの中にいろんな理由がある。

会社っていうけど、部署が嫌なのか会社の雰囲気が嫌なのか、あるいは仕事の内容が嫌なのか。

「嫌だ」っていうのも、行きたくないのか、行くことに意味を感じられないのか、「行ったら怒られるから嫌だな」って行きたくないのか「この仕事は社会の役に立たないから自分が行くべきじゃない」と思ってるとかいろんなレイヤーがある。

(それを)大きい言葉でごまかそうとするわけ。

「会社の行くのが嫌」「世の中をよくしたい」「有名になりたい」でも有名って何だろう?twitterで話題になることなのか、テレビに出ることなのか、少なくても自分の街のみんなに知られたいのか、いろいろあるじゃん。

その一個一個の大きい概念を丁寧に紐解くことをしないと本当に自分のやりたいこととか、自分の人生の問題の解決につながらない。その分析にこそ言葉が大事

「嫌になる」と「やる気が起きない」と「やる意味を感じられない」って全部似てるけど全然違う。

これを言葉にできるかどうかがすごく大事。これね慣れると簡単にできるようになる。

 

慣れると息を吸って吐くように「あー俺今イライラしてるなー」「でもこれは不満を感じてるんじゃなくて納得してない状況なんだよな」みたいな。

でも最初はできないと思うから、俺が本の中で勧めてるのは一回書いたほうがいい。

何か嫌なことがあるとか、どうしてもやりたいことがある時とか、一回1時間くらい時間とって、真っ白なノートに自分の感情を因数分解して、言葉にしていくっていうのをやったほうがいい。

 

渡辺)分解できないことろまで落とすみたいな

 

三浦)そう!あとウチの社員とかに言うのが、「やっといてね」この6文字の中に40個くらいの指示がある。

「相手を怒らせない」「丁寧なタイミングで連絡する」「メールを送っても多分見ないからLINEを送って、ただフォローの電話も必ず入れること」「企画に関してはクライアントのオリエンをちゃんと踏まえた上で3案くらい出すけど、そのうち1案はクライアントが想像つかない方向であること」「当然面白いこと」みたいなのがあって「やっといてね」なんだよ。

だから俺も部下とか社員に言葉の因数分解を意識してほしい。

ウチの会社で気合入ってる連中は「やっといてね」って言われた瞬間の「今回の三浦さんの”やっといてね”の本質はこれだな」みたいなものをちゃんと見抜いてくる。

 

4、言葉の「ランキング」を編集する

三浦)相手目線で順位づけをしてあげること。

思った通りに言えないとか、うまく言葉にできない人って2パターンあって、言葉が思いつかない人。もう1個は思いつきすぎて何から言っていいかわかんないって人。

 

渡辺)とりあえず思い浮かんだことをベラベラ言っちゃうみたいな?

 

三浦)例えば「新R25ってどういうメディアなんですか」って聞かれたときに、面白くてPV数高くていろんなインフルエンサーが出てきて…いろいろあるじゃん。でもさ相手にとって重要なの一体何?

(相手が)クライアントさんだったら「今20代30代が一番SNSで話題にするメディアです」一方で(相手が)自分の子どもだったら「お父さんが尊敬してる友達がたくさん出てるメディアだよ」って言えば(子どもは)「そうなんだ!」ってなるじゃん。

つまり同じ何かを説明するときにいろんな要素がたくさんあるんだけど、相手に何が一番響くか、どういえば相手に刺さるかって言うのをランキングづけて説明すると話が通る

 

渡辺)GOが企画をプレゼンするときになんかもそこはすごい意識してる?

 

三浦)そこはもう一番意識してます。

こっちの言いたい順番なんかホントどうでもいいから。とにかく相手が聞きたいことをちゃんと言ってあげる順番に。

 

渡辺)それが言葉のランキング!

多分(普段)息を吐くようにやりすぎて今思い出せなかった。

  

三浦)「言語化力」もかなりいろんなマニュアルが書いてあって「こんなこと全部できるかよ」って思うんだけど、そのめんどくさいことを一回我慢して1週間2週間やると、脳が言語化できる脳に変わる

そうすると息を吸って吐くようにできるようになる。

 

渡辺)みなさんはこの中で自分が苦手とする分野が多分あるから、そこを重点的に改善していくというか、補強していくと多分いい言葉が出るようになる。

 

三浦)それが結果として人間関係にも効くし、仕事の成功にも繋がるっていうふうに俺は信じてる。

 

渡辺)ぜひみなさん言葉にする方法を実践して見てください。

 

 

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